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お見舞い

今日、昔から知っている方のお見舞いに行ってきた。アレンジメントフラワーとやらを持っていった。花を片手に作務衣姿の男が病院をうろつくのだから異様な光景だ。本当は仕事中だったから衣(布袍)で行きたかったが「オラはまだ死んでねえ。ここは坊主のくるところではねえ」と思われてもしゃくだから「もしかして坊主?」くらいまでは妥協したつもりだ。
病室にはいったら「よく来てくれたね」と喜んでくれた。年齢は80歳を超えているが若く、元気な方だったから入院というイメージがわかない。ボーリングでも100を超えるスコアをだすらしいし…。「お花奇麗やね」といいながら、しばらく花を見つめていた。いろいろ世間話をした。病状は癌の末期で咳が止まらないとのこと。どれほどの時間が残されているのかわからない。「安倍首相やめたね。体が悪かったらしいし。これからの日本どうなるんやろね」これからの日本という言葉が妙に切なく感じた。その時、あるものに気づいた。枕の上の所に法語(仏さまの言葉がかいてある)カレンダーがかかっていた。私の視線に気づきその方は「これね。毎日めくりながら読みよんよ。いい言葉が書いてある」カレンダーか。この9月をあと何回見ることができるのだろう?最後の9月かもしれない。この秋の紅葉は最後の紅葉かもしれない。なんかそう思うと泣きそうになってきた。「今度、本願寺展行くけ図録買ってくるね」と言ったら「字はしんどいけど写真なら見れる」と喜んでくれた。

人間は死ぬ時、今まで築いたものを何1つとして持っていけない。地位、名誉、財産、人脈、家族、友人…枕の上にかかっているいつも見慣れたカレンダーがとてつもなく尊いものに思えた。
親鸞聖人の教えに生きたその方の姿もまた崇高であった。
普段必要とも思われない教えだが、最後の最後には本当に必要なもののような気がした。
by bongu04200420 | 2007-09-19 17:06

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