袈裟ハット

時間がとまる瞬間に遭遇することは稀だ。

門司にある大きな病院の前で、突然乗用車が横転した。

空気が凍りついた。誰もすぐには動けない。

時間の鍵が解除され、何人かの人間が、少しづつ「倒れたもの」を元通りにする作業に取り掛かった。

歩道に車をおいて私も復旧作業に参加した。

トヨタの作業員の方と病院の関係者の方が中心となって車をおこす作業に入った。

法衣姿の私が駆け付けると、あきらかに

「え!」という表情をされた。

その「え!」は、まだ坊さんの出番じゃない。という「え!」に見えた。
まあそこは、坊さん界のピザハット。死ぬ前から駆けつけますぜ。死にたてホヤホヤでお経をあげますぜ(笑)
これが本当の臨終勤行なのだ。まあ笑えない冗談はおいといて…

俺がすべきことは、まず救急車と警察を呼び、車をおこす作業を手伝う。
この作業を迅速かつ正確に行う必要がある。
びっくりする位冷静にこなすことができた。

汗まみれ油まみれになりながら、みんなで頑張った。
中にいる人は大丈夫なのか?見るのが怖い。
考えては駄目だ。無心だ。無心だ。

ベテラン作業員の力によりドアはこじ開けられた。車内から血だらけのおばあさんがでたきた。
トヨタの店員と2人で、歩いて病院へ向かった。

私は現場検証に立ち会うことなく、その場を去った。

坊さんは死んでから呼ぶというのは間違いだ。いつでも、どこでも呼ばれれば現れる。
暇な時ならば。

車に乗りエンジンをかけた途端、心臓がバクバクしてきた。
頭から血を流していたおばあさんの顔が脳裏に焼き付いて離れない。
御門徒からいただいたボジョレ―飲みずらいわ。

事故は本当に怖い。年末、安全運転でいきましょう。


『見えない弾がいつもどこにいても飛んでいる。それに当たって死ぬなんて誰も信じていない。でもその見えない弾は無数にこの平和な街に放たれどこにでも飛んでいる。それが見える人には殺人も事故死も唐突ではない』
by bongu04200420 | 2012-12-17 15:16

読み流しブログの決定版 


by bongu04200420
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31