ひく人 ひかれる人 

お参りの途中で事件に遭遇した。

マッチョな男性が自転車に乗った女性に後ろから追突されたのだ。

「すいません」と自転車に乗ったまま会釈する女。

人をひいいておきながらサドルから離れないとはなんとも横着な態度ではあるが、マッチョは怒るに怒れない。

マッチョが怒ったら普通の人が怒るより威圧感がある。また、たくましいのは表面の筋肉だけでメンタルマッスルはユルユルと民衆に囁かれてしまう。

怒りを必死で噛み殺しながら、右手を軽く挙げて「許します」のサインをだしていた。

女は猛スピードで雑踏の中に姿を消したが、マッチョは足をひきずりながらゆっくりと歩み始めた。

数年前の法事で私が見ている前で、施主が奥さんにひかれた。

施主の男性は足をひきずりながら「痛み」を訴えているのだが、奥さんは「大袈裟」と一喝し、事故を認めようとはしなかった。諦めた施主は何事もなかったかの様に振舞う道を選んだ。

「大丈夫ですか」と言うと

あのマッチョと同じように右手を軽く挙げて「なんとかやっております」のサインをだしてくれた。
この上なく痛々しい「なんとかやっております」だった。

軽くひいたとか思いっきり跳ねたとか親子だとか夫婦だとか
マッチョだとか骨のもろいじいさんだとか関係ない。

ひいたら「謝る」ひかれたら「痛がる」

納骨にむかう車中、妻にひかれた男と、夫をひいた女と、この出来事に心底ひいている坊主の三人がほのぼのとした世間話に花を咲かせていた。
by bongu04200420 | 2012-09-03 15:05

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