カリスマじいちゃんの最後

昔昔の話

80過ぎのおじいちゃんの葬儀の中で、お孫さんが、おじいちゃんに宛てて1人ずつメッセージを送った。

「おじいちゃんの畑で作ったスイカ。できて真っ先に僕を呼んで食べたね。ぬるくてあまり美味しくなかったけど『これはこれでいいんだ』とみんなを呼んで満面の笑みでスイカを頬張るおじいちゃんの顔。忘れられません。おじいちゃんに『味より心の大切さ』を教えて貰いました」

「おじいちゃんの病気(癌)が発覚して家族で最後の旅行に行ったね。旅行に行った時、おじいちゃんは「いのち」とか「宇宙」の話を沢山したね。もしかしたらただの言い間違えかもしれないけど、話している時『お父さんなぁ。あんたやったらこの話わかると思う』と言ったよね。私は小さい頃、父を亡くしているので、おじいちゃんはずっと『俺が父親の代わり』と思ってくれていたのかもしれないね。ありがとう」

「おじいちゃんが亡くなる前、どうしてもおじいちゃんの側にいたかったので、2日間おじいちゃんと一緒にいました。おじいちゃん、あまり喋らなかったので『ごめんね。キツイのにずっと隣におって迷惑やったね』と帰ろうとすると『そんなことない。嬉しかったよ。頑張りや』と手を握り返してくれた。これからはおじいちゃんを見習い、親戚や身近な人が集まりやすい家にしていこうと思います」

「おじいちゃん、私は遠くに住んでいるのでなかなか会えなかったけど、おじいちゃんのこと大好きやったよ。
いつも楽しいおじちゃんやったね。また、おじいちゃんに会いたいよ。近所の皆様、おばあちゃんが残っています。寂しくなりますので、どうかおじいちゃんに線香をあげに来て、いろいろ話をしてやってください。お願いします」

涙で声にならない場面もあったが、それぞれがそれぞれの言葉で「おじいちゃん」のことを話された。
いいおじいちゃんだったんだろうな~すごいカリスマだな。俺もこんなじいちゃんになりたいな。

遺影の写真はこの上ないほど素晴らしい笑顔だ。

視界が滲んできた。やばいなぁこりゃ。この後、『正信偈』読めんがな、しかし……

その時である。

ブーン!

快音を飛ばしながら、巨大な「蛾」が現れた。

花のまわりを飛んだ後、なんと前で挨拶をしているお孫さんたち、1人、1人の足下を巡回している。
1人の足下で10秒くらい停滞し、また次の足下めがけ飛んでいく。

来るなよ。こっちには来るなよ。

ブーン

頼む。来るな。来るな。来た―。

「そのリンプン一杯の身体で、我が家の七条を踏むことはならんぞ。来るんならシャワー浴びてこい。」
そんな声が届くはずもなく、僕の足元でも10秒くらい停滞している。

その後、また別の方向に飛んで行った。

偶然かもしれんが、孫1人1人のところで止まるってなんか意味ありげだわ~

ブータンなら
「これはまさにじいちゃんの生まれ変わりです」とでもいいそうな感じだった。

次に兄弟の挨拶
おじいちゃんの人生をダイジェストで振り返られた。

「戦争に行って、銃撃戦を迎えた時、上手く避難できて本当に良かった。もし玉に当たっていたら今頃死んでいるし……」

あ、しまった!という空気。

今日は葬儀、当たり前のことだが、玉に当たらずとも死んでいるのだ。

挨拶はどんどん変化をとげ、最後はおじいちゃんの話を離れ、政治を通過して「がんばろう日本」で落ち着いた。

いつの間にか涙が渇いていた。

お孫さんの挨拶の内容しかり弟さんの挨拶しかり、本当に学びの多い葬儀だった。
by bongu04200420 | 2011-07-19 13:39

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