忘れ物哀悼歌

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キッズキャンプで結構な数の忘れ物があった。豊かな時代ならでは。
忘れる方はいいのだが、忘れられた方の叫びはなかなかのもの。
今日のお客さんは


上履き さん

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あいつとは一身同体と思っていた。俺がつまずけばアイツもつまずく。
あいつは良く走った。「廊下を走ってはいけません」という張り紙を見て、
「こんな張り紙を守るようなやつに日本は守れねえ。人生そう長くねえ。走るしかねえ」とかいっていた。

痺れた。

こいつに履かれてよかったと心の底から叫んだ。こいつのためなら少々汚れても平気だった。
俺の前には一体どんなやつが、こいつの足をサポートしていたのか。
嫉妬に狂って眠れない夜もあった。しかし、朝になり下駄箱の外からあいつの声が聞こえてくる度
「俺は何を嫉妬していたんだ。今あいつの声が聞けることを喜ぼう」そう思い直した。

あいつが画鋲を踏みそうになった時も、俺が体を張って守った。釘の時は守り切れなかった。
その夜は、あいつの臭いを胸に泣き続けた。あいつの足を守れないそんな上履き、スニーカー以下や。

上履きのおでこにはだいたい「持ち主」の名前が書かれてあるもの。「吉田たかし」「本間うめ」「伊良部周一」「ジャックニコルソン」漢字やひらがなやカタカナやアルファベット、書く人の個性が試される。

ある日「吉田たかし」の上履きに聞いてみた。
「俺ってどんな字で書かれてある」
「う、うん」
「もったいぶんなよ。どうせあいつのことだから平仮名だろ」
「う、うん、まあ」
「違うのかよ。カタカナ、マジで、あいつなかなかやるな~」
「う、うん」
「え、え、まさか漢字」
「ははは」
「おい、もったいぶんなよ」

いつ誰に聞いてももったいぶる。そう思っていたが、今その疑問がサッと晴れた。
俺は名前すら書いてもらえない。いわば2号さんだったのだ。

あの画鋲も釘も、ほこりも、残飯も、虫の死骸も、ガラスも…あいつのためとおもって体を張っていたが、あいつにとって俺はスペア。変わりはいくらでもいる。そう、「都合のいい上履き」
そんな悔しさの中にもあいつの臭いと汚れが俺のプライドをギリギリのところで保ってくれている。
ああああ、あいつの俺に対する想いと俺のあいつに対する想いが一緒だったなら…最後に一曲だけ歌わせてくれ。

ZARDの『永遠』の節で~

青い上履きを見たら 私のことを思い出してください
あなたの決心が固まったら…
きらきらとガラスの粉(かけら)を踏んで
このまま 消えてしまいましょう 誰も知らない楽園(くに)へ
今の二人の間に 永遠は見えるのかな
すべてを 手に入れることが 愛ならば
もう失うものなんて 何も怖くない

糞の踏み方も知らない 生意気な靴(やつ)だと思った?
偶然 街で見かけたけど 声をかけようかどうか迷った
守るべきものは 何なのか この頃 それが分からなくなる…
「足(キミ)と靴(ボク)との間に 永遠は見えるのかな」
どこまでも続く坂道
あの日から淋しかった 想像以上に… Just fallin'of the Rain

君と僕との間に 永遠は見えるのかな
この門をくぐり抜けると
安らかなその足にたどりつける また夢を見る日まで

by bongu04200420 | 2010-08-06 17:43

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